「海外勤務者と外国人労働者の健康課題と対策」開催レポート
海外勤務者と外国人労働者の健康課題と対策を開催しました!
(公社)日本産業衛生学会 海外勤務健康管理研究会が主催でのセミナーでした。
海外勤務者はアジアを中心に増加しており、中規模以上の企業には必ずといっていいほど海外勤務者がおられます。
一方、ほとんどの企業には海外の健康管理のエキスパートはいません。
心配だけど、どうしたらいいのか、手探りの企業も案外多いようです。
セミナーには多くの企業の担当者様がご参加くださいました。
講師
五味 秀穂 先生(ごみ ひでほ)
一般財団法人航空医学研究センター専務理事・所長
東京慈恵会医科大学医学部卒業
米国ラ・ホヤ、アレルギー免疫研究所留学
英国ロンドン日本クラブ診療所派遣
東京慈恵会医科大学腎臓・高血圧内科学教室准教授、全日本空輸(株) 運航本部乗員健康管理部長を歴任
専門分野は内科・腎臓・高血圧
濱田 篤郎 先生(はまだ あつお)
東京医科大学病院 渡航者医療センター教授
東京慈恵会医科大学卒業
米国Case Western Reserve大学留学
2005年より海外勤務健康管理センター・センター長として新型インフルエンザやデング熱などの感染症対策事業を運営
2010年7月より現職に着任。海外勤務者や海外旅行者の診療にあたっている
専門分野は内科、渡航医学、熱帯感染症
セミナーレポート
心配の種 五味先生のお話
海外で心配な健康問題は、
- メンタルヘルス
- 感染症
- 予防接種
- 医療費
- 健康診断
だそうです。
渡航にあたっては、健康状態の確認、赴任の判断、渡航の準備(予防接種)、渡航中の心身の健康管理、帯同家族の心身の健康管理、渡航中の心身の不調への対応、帰国後の再適応まで、驚くほど多くのフェーズをクリアすることが求められます。
先生は、具体的にどのような問題を抱える可能性があるのかについて解説してくださいました。
印象的だったのは、ストレス要因についてのお話です。
会社からの支援は重要だが、逆に理解を得られないと、ストレス要因となってしまうこと。
また、職場の規模が小さいと人間関係も小さくなり、ストレスに占める比重も大きくなることを知りました。
なるほどということばかりです。
メンタル不調は、複数の生活上の変化が重なることでより発生しやすくなります。
海外勤務では生活職場ともに激変するので、かなりハイリスクです。
個別的にリスクの洗い出しも重要とのお話がありました。
五味先生から、支援のためのリソースについてご紹介がありました。
有料(契約が必要)、無料等様々ですが、ここでも以下にご紹介させていただきます。
海外医療情報を得るには……
- 外務省 海外安全対策 地域別医療情報
- (財)海外法人医療基金
- JAMSNET
- JAMSNET東京
- 保健同人社 海外ヘルスサポート
- Group With
- 日本渡航医学会 海外トラベルクリニック
感染症専門医 濱田先生のお話
感染症の専門医から、海外の感染症のお話を聴く機会はあまりありません!
ジカ熱、デング熱など、最近有名になった蚊の媒介する感染症の対策、また、妊婦さんの感染症対策など、多岐に渡る興味深いお話を聴くことができました。
マラリアを媒介する蚊は夜活動するので、対策は夜に必要。
デング熱を媒介する蚊は昼活動するので、対策は昼に必要だそうです。
蚊といっても、種類によって活動時間が違うのですね。知っているって大事ですね。
外国人労働者の健康問題
現在、外国人労働者受け入れについて、しばしばニュースで取り上げられています。
労働力の確保は当然重要ですが、人材受け入れにあたって感染症の問題に今後直面することが予想されること、また海外で取られている対策についても解説してくださいました。
問題が起きれば、受け入れる企業の社会的信用にも影響しますが、日本の社会全体の問題ともなること。問題意識を持っていることが重要だと感じました。
最後に
今回講師の濱田先生が所属される東京医科大学病院でも、渡航者医学実用セミナーを開催されるそうです。
以下にご紹介します。
第22回渡航医学実用セミナー